現在雪が舞っています。すでに外がうっすら白くなっています。明日の朝が怖い、詩音です。
今日はフルートに関して、楽器と音色の関係について考えたことをまとめてみます。
フルートはメーカーによって、このメーカーの楽器はこういう音でこういう特徴があるという定説みたいな物をよく見かけます。
私が使っているムラマツは、それによるとダークな音色でヴォリュームが大きいとされているようです。
ムラマツトーンなどとも言われ、個性のない音の代名詞みたいに使われることもあるようですね。
使っている人が多いからそう言われるようですが。
でも、どうも納得がいきません。もちろんメーカーによって設計が違うのでその点の違いはあると思いますが、誰が吹いても定説通りの音になるとは考えにくいです。
実際、私の周りには今私を含めて5~6人ムラマツ使いがいるわけですが、決してみんなが一様に暗い大音量をしてはいません。
ムラマツをお使いのプロの人の演奏を聴いても、ものすごく明るい音をした人もたくさんいらっしゃいます。まあ、プロは頭部管を変えていらっしゃる人も多いからだという反論もあろうかと思いますが。
今年は今までにないくらいたくさんの、色々なメーカーの様々なモデルを試奏する機会があったわけですが、その中でこのよく見かける定説について自分なりに考えてみて一つの仮説に辿り着きました。名付けて『パレット理論』です。
あくまでアマチュアが個人的な考えで立てた仮説ですので、話半分くらいの気分で読んでくださいね。
フルートを、絵を描く時に使うパレットに喩えます。
パレットにはいろんな色の絵の具を乗せてあり、それらを混ぜて絵を描くのに使う色を作ります。
極端な話ですが、そこに暖色系の絵の具しか乗っていなかったら?当然描き上がる絵は暖色が多く使われた物に仕上がるでしょう。
フルートも、楽曲を構成するための音色を作るパレットだと考えると、誰が吹いても明るい音になるとされる楽器は、明るい音色が多く乗るように設計されているのではないかと思うのです。
もちろんどんな楽器も、どんな楽曲にも対応できるように全ての色が作れるように音色が乗せてある事でしょう。しかし、その色のバランスとか置き方とかで、どういった音色が作りやすいかというのがあるのではないかと。
微妙な中間色が最初からたくさん用意されている楽器もあるかもしれません。そういう楽器なら簡単に色々な色を使うことが出来るでしょう。でも、逆に混色するとどんな色が出来るか分かりづらいので、パレットにない色を作り出すのは難しいかもしれませんね。
特定の色が極端に多く乗せてある楽器もあるかもしれません。そうすると、その傾向の色は簡単に作れますが、違う傾向の色を作る時にはパレットの上に大量に乗っているその色を避けて色を調整しないといけません。
元から乗っている色が全体的に淡い色合いの楽器もあるかもしれません。そういう楽器なら柔らかい色が作れることでしょう。しかし、濃い色は苦手かもしれません。
全部ビビッドな色合いの楽器もあるかもしれません。それだと鮮明な色は得意でしょうが、繊細な色は作りづらいかもしれません。
私は、ムラマツはこの喩えの場合、三原色が、混ぜやすいように非常にバランス良く配置されているのではないかと考えています。
なので、何も考えずにパレットに筆を走らせると、全ての色がほぼ同量ずつ混ざって黒が出来上がる。つまり、ダークな音色になるということなのではないかと思うのです。
使い方がうまくないと無個性な黒しか作れないかもしれませんが、色のバランスが良すぎると考えると、ブレンドの仕方が理解できれば逆にどんな色でも作りやすい、とも言えるのではないでしょうか?
どんなパレットでも、どこにどの色が配置されているか把握して、その混ぜる量を思うとおりに調節できるなら、どんな色でも作れると考えるのがしっくりきます。
問題はそのパレットが使いやすいかどうか。それが、楽器が自分に合うかどうかという事なのではないかと思います。
この理論、実はまだ私の中で発展しているのですが、いい加減長くなったので今回はこの辺で。
また気が向けば続きを書くかもしれません。
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