最近私の周りでにわかにフルートブームが巻き起こっています。
このブログでもフルートを始めたことを発表している人がいらっしゃいますが、その他にも数人の団員がフルートの練習を始められました。
なぜここにきてフルートブームが?日本ではフルートは大変人気がある楽器なのですが、なぜかノースウィンドアンサンブルはフルート人員が日照り傾向です(一時的に、居る時は多すぎるほど居たこともあるのですが。ほんの短期間...)。そこでフルートの魅力を再考してみようかと思うのです。
私自身の事ですが、フルートを吹くことになった理由は能動的なものではなく受動的なものです。中学校に入学した時吹奏楽部に入部し、親が金管楽器奏者なので金管楽器を希望するつもりでいました。しかし、小学生の頃、私が家にあったフルートを少し吹いて遊んでいたのを誰かが知っていらっしゃったらしく、誰も希望しなかったフルートをあてがわれてしまったのです。しぶしぶフルートの練習を始め、高校に進学したら金管楽器に鞍替えしようとたくらんでおりました。ところが、どういう訳か高校の吹奏楽部の入部の際、希望楽器を調査するアンケート用紙の第一希望にフルートと書いている自分がいました。なぜでしょう?それからは悩むことなくフルートを続けています。きっと中学の時、すでにフルートの魅力にとりつかれていたに違いありません。
まずは何といっても楽器が小さい。持ち運びに困ることはまずありません。さらに他の木管楽器と違ってリードのような頻繁に交換が必要な消耗品もありません。楽器があればとりあえず演奏できる気軽さがあると思います。
そして楽器の美しさ。最近のフルートは一番安い楽器でも銀メッキ仕上げですから、楽器の表面は大変綺麗です。さらにほとんどの日本製の楽器は、キーなどの細かい部分がとても精密に作られていて、芸術品と言ってもいいのではないかと思います。それが銀製・金製ともなると、もう貴金属の塊。宝飾品といっても過言ではない?音楽とは直接関係ない事ですが、楽器を所持する事に喜びを感じさせてくれます。
他の楽器にはない、横に構える構え方もこの楽器の個性。息を吹き込む方向に、いきなり楽器が直角になるように構えます。このひねくれている(?)スタイルも気に入っています。横笛は世界各地に民族楽器として存在しますが、笛を横に構えることを最初に誰が考えたのでしょうね?楽器が進化しても音を出すメカニズムは昔から全く変わっていないのも興味深いです。
一番の魅力はやっぱり音色。他の楽器と違ってリードや唇、弦などを振動させるのではなく直接空気を振動させますので、とても自然な音色が出せる楽器であると思っています。人類が地球上に現れる遙か昔から、岩のくぼみや木の虚など、そういう穴に風が吹き込んで音が鳴っていたはずです。フルートの音はその直接の延長線上にあるわけですから、世界最古の楽器ということもできます?澄んだ透明な音もいいですし、濁った音も出すことができそれはそれで魅力的です。吹き方によってはリコーダーのような素朴な音も出せますし、低音の虚ろな響き、高音のきらびやかな響きと、様々な表情を見せてくれます。うまい具合に息を入れると楽器が勝手に鳴ってくれて、そこから自分の思う音色になるようにコントロールする感覚も好きです。狙った響きが得られたときは、何物にも代え難い心地よい感触が味わえます。他のものを媒介せず空気を直接振動させるので、より自分の想いを直に音に込めることができるような気もしています(とは言え、まだ私の技術では表現できない感情がたくさんあるのですが)。
さて、そんな魅力に共感してくれたのか、それとも私と違う魅力に惹かれたのかは分かりませんが、同志が増えるのは喜ばしいことです。このままみなさんに上達していただいて、フルートアンサンブルが組めるといいな、などと夢見てみたり。
コメントする