ススキの株と戦ってきました。詩音です。
今日の題名のない音楽会は作曲家、すぎやまこういちさんの特集でした。
氏は、私の音楽人生にとって重要な影響を与えてくださった人の一人です。
最も尊敬している作曲家と言っても過言ではありません。
何と言ってもドラゴンクエストのBGMです。
我が家にはファミリーコンピュータがありませんでしたが、親戚の家で従兄弟がドラゴンクエストを買ってプレイしているのを見て、そのBGMに興味を持ちました。
シリーズ一作目のフィールドのBGM、「広野を行く」です。
すごく単純で短いメロディーが繰り返されるだけなんですが、不思議と印象に残りました。
それから、ドラゴンクエストを持っている友達の家に行ってはプレイを見せてもらい、BGMを聴くようになりました。
そうこうしているうちに、経緯は覚えていませんが親がCDを買ってくれました。
シリーズが発売される度に作られる、交響組曲ドラゴンクエストです。
これで人の家に行かなくても曲を聴く事が出来ると、すごく嬉しかったのを覚えています。
しかしそれを聴いて、期待していたことを達する以上の衝撃を受けました。
ゲームのBGMとして聴いていた曲を、オーケストラが演奏すると、知っているメロディーなのに全然印象が違うのです。
当時のコンピュータミュージックは、今ほどの技術がありませんので、それこそ楽譜の音を音程と音価を正確に出すだけ(それでも音楽的に聞こえるよう、色々と工夫はされていたようですが、限界はありました)。しかも同時発音数は3つです。
それがオーケストラだと、楽器の数だけ音色もヴァリエーション豊かで、なおかつその表現力は音量のダイナミクスやレガートのかけ方など、コンピュータのそれとは桁違い。
「そうか、あのメロディーは本当に演奏するとこうなるんだ」と、音楽は楽譜に書いてある音をただ出して並べるだけではダメだという事を実感する体験をさせてくれたのです。
それからは、ゲームの電子音を聞いては、これをオーケストラが演奏したらどんな風になるだろう?と想像する遊びを一人でするようになりました。
特にメロディー。
このメロディーは生楽器がやったらどんな風に抑揚をつけたり、どこからどこまでの音をつなげるんだろうかとか、歌い回しを頭の中で考えるのです。
当時はグラフィック性能も貧弱でしたので、ゲームを盛り上げるために音楽による演出は大変重要でした。
ゲームのサウンドトラックを1枚買うと、非常にたくさんのジャンルの、色々な曲を聴く事が出来ました。
人の家でゲームをしているのをみて、BGMが好きな傾向だったらそのオリジナルサウンドトラックを買って、それらを聴いては気に入ったメロディーの生演奏を想像する。
フルートを始めてからは耳コピーしてフルートで演奏してみる遊びに進化しました。
割と良い勉強になったのではないかと思います。
植松伸夫さんやなるけみちこさんなど、その後もゲームのBGMを通して素晴らしいメロディーを書かれる作曲家に出会うことが出来ましたが、すぎやまこういちさんは私にとってやっぱり別格です。
あの独特の、優しさや暖かさにあふれ、時に哀愁たっぷりで、本当に魅力的なメロディーをたくさん生み出していらっしゃいます。
最近はコンピュータのグラフィック性能が以前からは想像も出来ないくらい発達して、BGMの重要性が薄れたのか「これは」というメロディーに出会える機会が激減したのと、コンピュータの音楽表現も進歩してコンピュータミュージックもそれなりの音楽表現を聴かせてくれるようになったので、この遊びもいつしかやらなくなりましたが。
コンピュータ技術の進歩は喜ばしいことなのですが、ちょっと寂しいことかもしれないとも感じますね。
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