アンブシュールを変更したため、先日の練習ではフルートが凄く不安定でした。詩音です。
今までも常にアンブシュールは研究して、小さな変更を繰り返してきましたが、今回は急激に大改造です。
なので、音が出なかったりレガートが途切れたり・・・。
でも、ピッコロは確実に良い方に激変しました。
遠征の報告記事の冒頭に長々とこの前の練習報告を書き込んでいますが、なぜ突然アンブシュール変更を決行したのかという理由がこの記事と関係します。
前回の続き、ラモ・サウンドさんを出て山野楽器へ。徒歩5分くらいで着きました。
山野楽器のフルートサロンのショーケースには、今まで存在は知っていたけど見たことはないメーカーやモデルの楽器がたくさん陳列してあり、それを見るだけでもテンションが上がります。
まるで、言い伝えで聞いていた伝説の存在を目の当たりにしている気分です(笑)
とりあえず試奏した感想は、オールド・ヘインズのフルートの音が良かったです。
以上。
あれ?昨日は試奏についてあれほど長い駄文を書いていたのに、今日はこれだけ?と思われるかもしれませんが、もう試奏どころではなくなったんですよ!
試奏どころではなっくなったハプニングについて書く前に、このハプニングに立ち会えた不思議な縁のようなものがありますので、それについて。
この東京遠征では往路で時間を無駄にロスしたのは報告に書きました。
まあ、初めての土地なので、移動がスムーズに行かないのは仕方が無いかもしれませんが。
そして、報告には書きませんでしたが、リサイタル後のサイン会では、サイン会の会場が楽屋入り口だとは何となく会場アナウンスで聞いていたのですが、まさか楽屋入り口に行くにはホールを出て地下駐車場の方に行かないといけないとは思いもよらず、サイン会場はあちらですというような案内も無かったので、しばらくロビーで待機してしまったためほぼ列の最後尾に並ぶことになってしまい、これも時間ロスです。
ラモ・サウンドさんで予想していたよりも倍の時間滞在しました。
今回は時間が予定より押してしまう傾向にあったことは確かです。
そしてさらに予定外だった事が。
この遠征の計画段階では、実は2日目は楽器屋巡りを午前中で済ませ、午後は日本未来科学館に行って話題のGeo-Cosmos、しんかい6500の原寸大模型など見たり、常設されているメガスターを堪能しようかという事になっていました。
しかし、調べてみるとこの日は定休日。
行く前から計画が頓挫していました。
しかし、午後の予定が無くなったため、ラモ・サウンドで時間が押しても大して問題に思いませんでしたし、山野楽器でも、試奏をお願いした楽器を一本、店員さんが試奏室に持ってきてくださるのを忘れていらして、それをまだかな~と待っていたりして、当初1時間以内の予定が、なんだかんだで1時間30分くらい滞在していました。
13:00近くなって、まだまだ吹いてみたい楽器はあるけど、あんまりあれもこれもとお願いするのはさすがに気が引けるし、お腹もすいてきたしそろそろお暇しようか、でも最後に、Cisトリルキィ付きの楽器だけはポチさんに体験してもらいたいなと思ってヘインズのCisトリルキィ付きの試奏をお願いしようと試奏室を出ました。
サロンにはどなたかお客さんが中央のテーブルに座っていらっしゃいましたが、気にせずその背後とショーケースの間の狭い空間を通り、店員さんに目当ての楽器を出してもらうようにお願いしました。
おや?気のせいか急に店員さんの数が多くなっているような?何かあったのかな?
まあいいや、ひとまず試奏室に帰ろうとまたテーブルのお客さんの背後を通ったとき、英語で店員さんと話していらっしゃっるのが聞こえたので外国の方か?と思いその時初めてそのお客さんを見ました。
!!!!?
心臓が止まるかと思いました。
なんとテーブルに座っていらっしゃったのは、サー・ジェームズ・ゴールウェイその人だったのです!
しかも、会話の相手は店員さんではなく、ナガハラフルートの社長、永原寛一さんです。
どうやら頭部管の選定をされている様子で、永原社長が10数本の頭部管ケースを並べて、これはどうですか?とゴールウェイに勧めていらっしゃる様子でした。
目の前の光景がにわかには信じられなくて、近くにいた店員さんに、「ゴールウェイさんですよね?」と確認したら、「そうです。良いタイミングにいらっしゃいましたね」との返事。その店員さんも若干興奮していらっしゃる様子。
夢じゃないようです。
しばらく頭部管をあれこれ試していらっしゃるゴールウェイを横から眺めてしまいましたが、試奏室のみんなにも知らせないと!とふと我に返り、慌てて試奏室へ。
試奏室の扉を開け、「いま、頭部管を吹いてらっしゃるの、ゴールウェイ」となぜか片言になってそれだけをやっと言うと、ポチさんもサザンクロスさんも信じられないという表情で、急いでサロンへ。
サロンに戻ると、ゴールウェイはまだ頭部管を吹いていらっしゃいました。
永原さんが、これは?と渡しては、ゴールウェイが吹いてみて、う~んダメ。永原さんがえ~と残念そうにまた次の頭部管を渡してらっしゃるような場面でした。
英語が分からないのを、この時ほどもどかしいと思ったことはありません。
プロの試奏なんて、滅多に出会える場面では無いですし、ましてやゴールウェイですよ?
しばらくして、これはという頭部管が見つかったのか、楽器に組み付けての試奏になりました。
有名な、ゴールウェイが16本の楽器を吹き比べる動画で吹いていらっしゃるあの曲でした。
試奏の定番にしていらっしゃるのでしょうか?
昨日のリサイタルに続き、翌日もお会いでき、なおかつこんな至近距離でまた音を聴かせていただけるとは・・・。
幸せすぎておかしくなりそうです(笑)
話がまとまったのか、頭部管の試奏は終了。
今度は、ゴールウェイが「何か面白い楽器はない?」とおっしゃったようです。
永原さんが店員さんと、「何か面白い楽器はないかって。あまりゴールウェイが吹かれたことがなさそうなのがないかな?」「ヘルムート・ハンミッヒとかはどうでしょう」「いいかもしれない」というような会話をされ、ヘルムートが出されることに。
私もヘルムート、気になりましたが、試奏していませんでした。
ヘルムートを吹かれたゴールウェイは、ちょっと吹いて、う~ん、これはダメ。というようなリアクションをされました。
私には何がダメなのか全く分かりません(汗)
次に、永原さんが「ルイ・ロットは?」と店員さんに尋ねられました。
え?ルイ・ロットは今私が立っている背後に陳列してありますよ?
しかも、ゴールウェイはルイ・ロットには興味を持たれたのか、今まで座ってらしたのに立ち上がってこっちにいらっしゃるではありませんか!?
慌てて横にどける私。
私のすぐ目の前で永原社長とゴールウェイが、「どの辺のナンバーがいいの?」「分かりません」というような会話をされています。
適当に2本くらい出して吹かれましたが、やっぱり少し吹かれて、う~ん、ダメ。というリアクション。
目の前、1mもないくらいの距離でゴールウェイが楽器を吹かれています。身体の使い方やアンブシュールをまじまじと観察させていただきました。
実は私、ロットはぜひ吹こうと思って、まず最初にロットの試奏をお願いしていました。
その時、店員さんは今良いロットが無く、その中でも状態がいいのはこれですねとおっしゃり、出して下さった楽器を試奏室に借りていました。
言うべきか・・・。
勇気を出して、永原社長に、「あの、店員さんが今の在庫の中で比較的状態が良いとおっしゃったルイ・ロットを、今私達が試奏させていただいていたんですが・・・」と言うと、「どれ?持ってきてもらえる?」とおっしゃいます。
急いで持ってくると、永原社長がゴールウェイに、「これが割と状態が良いらしいですよ」というような事を英語でおっしゃって渡されました。
それも結局お気に召さなかったのですが、吹いた後ゴールウェイが、「君たちが吹かせてもらってたの?」という風にその楽器を私に返して下さいました。
何か分かりませんが、猛烈に幸せな気分になりました(笑)
さて、ゴールウェイが店を出られてから、試奏室に戻ってゴールウェイが先ほど吹かれたロットを吹いてみます。
実は、このロット。私が普段当てるよりも結構外向きに当てないと鳴らないので吹きにくいと感じていました。でも、まさにフレンチの楽器だから、こんなに外に向けないと鳴らないのはおかしいような・・・とも感じていたのです。
しかし、ゴールウェイのアンブシュールを至近距離で拝見し、あることに気付いたので、それを実行してみました。
すると、いつもと同じ当て方で楽器が鳴るではないですか!
これはいけるかもしれない!
という訳で、ただいまアンブシュールの大改造中というわけです。
ゴールウェイのマスタークラスの動画がYouTubeなどにアップされているのを拝見すると、かなり下唇を外側にめくってリッププレートを当てるようにされているようです。
しかし、私がそうするとアパチュアと歌口の距離が開いてしまって息が当たらなくなるので、私の唇の形ではこの方法は無理なのかと思っていました。
しかし、実際に本物のアンブシュールを間近で拝見すると、その疑問が解けました。
まさに百聞は一見に如かずですね。
下唇と上唇の使い方およびリッププレートの位置関係について、目から鱗の発見です。
でも、まだ確信が持てるまでモノに出来ていないので、ここに具体的な事は書きません。
ただ、冒頭で述べたとおりピッコロにおいては今までとまるで違う良い影響が表れています。おそらく間違ってはいないかと・・・。
今回の山野楽器でのゴールウェイとの邂逅、計画段階のスケジュールが時間通りに運んでいたら実現していません。
何か分からないですが、不思議な何かが働いて実現したような気がします。
今回の旅は、本当にゴールウェイと縁があったと感じられる、一生忘れられない旅になりました。
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